「君はひとりじゃない」
イギリスの女性監督マウゴシュカ・シュモフスカが第65回ベルリン国際映画祭で監督賞となる銀熊賞を受賞。ポーランドのイーグル賞で主要4部門を受賞し映画祭を席巻したといわれる映画です。
妻を失い感情が表に出なくなった父親、母親を亡くし父親と自分の身体を嫌う娘、人々を治療しながらもぽっかりと空いた心を持つセラピスト。最愛の人の「死」を経験する登場人物たちが紡ぐのは心と身体の関係性、そして目に見えるものと見えないものの関係性。
観たあと、早い段階で「どうだった?」と聞かれて「うーん」と口ごもってしまったわたし。これをネタバレなしで人に説明するのは大変難しい。
なかなか人に勧めづらい映画です。「よかったか」どうか、と言われれば「よかった」し、「わたしは好き」なタイプの映画だけど、かなり人を選ぶと思います。「なんじゃこれ」と思う人もいるんじゃないかな。
わかりにくいところが点在してて、自分の中で何かを発酵させることができない人だと「え?」と思っているうちに終わってしまいそう。どこからどこまでを、どう考えればいいか迷う作品です。
ヨーロッパっぽい暗い映像も好みが分かれるかも。わたしは好きです。この正解のない世界感。是非、事前情報なしで観て欲しいところ。
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母が亡くなってぼろぼろになった娘と、そんな娘をもて余してしまう父。もて余すけれどちゃんと愛情も義務感もあってケアしようという気持ちは持っている。でも自分ではどうにもできそうにないので、病院を頼りたいんですよ。そこで出会う異色のセラピスト。
ほんまもんのスーパーナチュラル的なものなのか、オカルトなのか、それともなにかを示唆しているのか、それが多分シーンによって違うんですよ。だから「えっ?」っとなってしまいますが、そのままに、映像そのままに、素直なやわらかな気持ちでうけとって、そしてラストシーン。←これはネタバレなしで観て欲しい。
公式サイトには
3人が迎える結末に“大切な人は身近にいる”と気づかせてくれると同時に温かな涙があなたの頬を伝う。
ってあるけど、これ違うから。多分違うから。そーいうことじゃないから。涙なんか伝わないから。でも、ラストシーンはとてもいいシーンだと思いました。
人生って、生きていくって、結局そーいうことなんじゃないかなーと思わされるんですよ。正解はないし、圧倒的な悪も、圧倒的な善もなくて、どれもこれも個人の感じ方や考えかた次第。
そんな「明日もちょっとだけがんばろうかな」という気持ちになれる映画でした。
今日はここまで。
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