ディズニーっぽい感じのキラキラしいタイトル。
マダム・マロリーと魔法のスパイス
ファンタジーです。きっと。汚れちまったわたしにはファンタジーに見える。とてもおいしそうで気持ちがよいファンタジー。 スピルバーグ製作、「ショコラ」のラッセ・ハルストレム監督。うんうん。
どこを取ってもすっきりしなくて、登場人物の誰もが愚かで悲しくて強くて弱くて愛おしくて、それでも日常は過ぎていくという、それぞれの人の気持ちが心の奥底に降り積もるように残っていく「雪の轍」の次にチョイスしたのがこれ。よかったよかった。
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どこを取っても心温まる、登場人物の誰もがよき人で明るくて楽しくて愛おしくて、そして努力をしながら日常は過ぎていく、という映画です。
厳格な女主人マダム・マロリーが取り仕切るミシュラン常連の老舗フレンチ・レストランと、その向かいに引っ越してきた新興インド料理店が巻き起こす、名門店vs.新参者の攻防戦を中心に、“料理"が織りなすマジックが人々の心に響くヒューマン・エンターテイメント。道を隔てた2つの“異文化衝突"はやがて、料理と人生にストイックなマダム・マロリーと、2つのレストランに関わる人々に“美味しい奇跡"をもたらしていく―。
ベストセラー小説を原作に、スティーブン・スピルバーグが製作を務め、「ギルバート・グレイプ」、「ショコラ」を手掛けた名匠ラッセ・ハルストレム監督が人々の心の機微を温かく描き出します。マダム・マロリー役には、アカデミー賞(R)女優であり英国王室からは“DAME(デイム)"の称号を受けているヘレン・ミレンが、インド料理店のオーナー役にはインドの名優オム・プリが扮し、物語に気品とスパイスを加えます。そしてヘレン・ミレンは、第72回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされています。
最初は政治的なシーンから始まります。どうなる?どうする?そして流浪の日々。暴走しているのか耄碌しているのかわからん父を中心にして、このまま旅を続けていてよいのか。自分たちにとってのパラダイスはあるのか。ないんじゃね?そんなもん。と、疑問に思い始める子どもたち。家族がバラバラになりそうになります。でも結局父の判断は正しかった。その地が家族を待っていたのです。その地とは、フランスの田舎。ミシュランの一つ星。名門レストランの真向かい。
名門店vs.新参者の攻防戦
というほどの、闘いや攻防戦はありません。ここはちょっと残念なところ。もっと料理合戦をしてほしかった。海外ドラマばっかり観てると、映画を観たときにこういう気持ちになります。映画という2時間前後の枠の中では仕方ないですね。でも、その分、ガランティーヌのように、みっしりと上質に詰め込まれた感じ。
飽きることはありません。
向かい合っているインド料理屋さんとフランス料理屋さん。まったく違う料理ですが、作り手やマダムや父親はそれぞれの味や文化や歴史に誇りを持っています。
インド料理のシェフである息子(次男)ハッサン(マニシュ・ダヤル)は、フランス料理にも興味を持っていきます。産まれたときから持っている味覚ってあるのかなぁ。市場でもその天才的な舌のエピソードがありましたが、なんとも素敵な話。
ウニ食いたい。
手ですくって、ウニ食いたい。
マダムマロリーのヘレン・ミレンがとても素敵。アメリカ映画ですが、舞台はフランス。フランスの風景も素敵ですし、キリッとピリッとしめてくれたのはヘレン・ミレンの上品さ。優雅さ。
インド料理をジャンク扱いしなかったこともよかった。きちんとした料理だという描写が随所随所に盛り込んであって、インド料理もリスペクト。人種差別的なことはちょっと出てくるんですけどね。
◇
1つしっくり来なかったのが、マダムマロリーのシェフの扱い。
あのエピソードは、いろいろ考えてしまいました。
詳しくは書きませんが、トップに立つ人は慎重になるべきなのではないかと思うのです。
トップ同士がいがみあっている姿を見せていたら、部下はそれの何倍も相手にヘイトをためていくものだと思います。
ほんとのところはそんなにいがみ合ってないのよ、と心の中で思っていても、表面的に侃々諤々、丁々発止やっている姿を部下に見せて、さらに部下に「がんばれ」「隣に負けるな」的なことを言っていたら、部下はトップが思っている以上に相手をたたきのめしたいと思うでしょう。
発言するトップは、皆は自分と同じように節度を保って、プライドを持ってやってくれるだろうと思っているのかもしれないけれど、部下のほうはそうはいかないんですよ。自分の現状に危機感を持っている部下なら、トップに認めてもらうためにも手段を選ばなくなるかもしれません。そして「トップが喜んでくれる」と勝手に判断をして暴走するかも。これはいろいろな組織で起こりえます。あの暴走はあなたのせいなのだよ。マダムマロリー。と、心の中で呟いていました。だからこその謝罪と贖罪が雨の中のお掃除だったのかもしれないけれど。
◇
景色もよいし、映像も美しいし、おいしそうなものがたくさん出てくるし、作っている姿や食材も美しくて、わっくわくしながら観られます。
DVDなどで観たら、ボーナストラックも観てください。向かい合っている2軒のフレンチのほうは入口しかないそうです。中は別のお店。映像をつなぎ合わせて作ったそうです。
ああ、あの2軒が向かい合っている素敵な道があるのなら、いつかフランスに行ったときに訪ねてみたい!!と思ったのですが、あれは実現できないのですね。仕方ない仕方ない。夢の中での楽しみに取っておきましょう。
あと、タイトルはちょっとそぐわないんだなぁ。原題はThe Hundred-Foot Journey で、100フィートの旅で、2軒の間を意味しているそうで、近いんだけど、そこに至る物語はまさに旅だから。ぴったりなんだけど。魔法のスパイスって、うーん。ちゃうよなぁ。でも観なければ、素敵なタイトルだなぁって思うから正解なのかな。
◇
食うって大事だなぁ。
寂しくなったときとか、悲しいときとか、心が折れちゃったときに食べさせてもらったちょっとした料理って、楽しい会食よりも心に残るよなぁ。素材がよかったら余計に。
結末もファンタジーでいいなぁ。
誰にもお勧めできるおいしい楽しい映画です。
ハッサンは見ているうちに山田孝之にしか見えなくなってきましたが...
インド料理食べたい。
今日はここまで。
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