おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

ムーンライト[映画]

好きな映画の一つになりました。ムーンライト。

 

ムーンライトは25日間で撮影し、第74回 アカデミー賞作品賞、脚色賞を受賞。助演のマハーシャラ・アリは24分の撮影で助演男優賞 を受賞した作品です。

 

これから観るかたに一つアドバイス。これをアカデミー賞受賞作品だと思わずに観てください。「アカデミー賞」とか「全世界」とか「深い感動」とか、そういう枠に変な期待をせずに観に行きましょう。壮大なセットはなく、美しい男女が絡み合うこともなく、「泣ける」映画でもなく、ただただ時間が流れていく映画です。それはまるで人生のように。 

 

名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校ではいじめっ子たちから標的にされる日々。自分の居場所を失くしたシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だった。 高校生になっても何も変わらない日常の中で、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れることに…

映画『ムーンライト』公式サイト

 

幼少期、少年期、青年期の3つのパートに分かれています。ポスターの写真の顔は何を意味するのだろうかと思ったのですが、これはそれぞれの時代のシャロン。映画を観るまで気がつきませんでした。

 

 

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それぞれの時代のシャロンは別の役者が演じています。全く違う役者なわけですが、最後のシャロンのラスト近くのシーンでは、大人になったシャロンの中に子どものシャロンが見えました。不思議な感覚。大人のシャロンの体を脱ぎ捨てたら、そこには子どものシャロンが震えているんじゃないかと。鳥肌が立ちました。

 

貧困、いじめ、毒親、ドラッグ、LGBT。

学校、家、車、学校、家、車、海、駅、ダイナー。

 

どの時代の、どのエピソードの、どのシーンも「これ!」という答えがありません。だからこそ、観ているこちら側の思うことが心にたくさん積もっていきます。こういう余白のある映画が好きです。それでこそ映画!海外ドラマだと全部説明をする傾向にありますが、映画だからこその、この余白。それが映画の醍醐味だと思っています。そしてわたしは映画を観終わったあとに一人でその余白を考える、埋める、という作業をするのです。

 

ですが、今回はその積もったものが、あまりにもたくさんあって、誰かと語りたい。じっくりと観てくれた誰かと語りたい、と思いました。そう思わせられる映画でした。(そしてもう一度観たい)

 

人生なんか思ったようにいくことはなく、それでもどこかで一つだけ自分の中の真実があって、それをだいじにしていければいいのではないか。そんなことを考えさせられました。美しい色と形の映像。ポエムのようでいて、それでいて荒んだ現実も思い知らされます。

 

時代は車と家や装飾品で何となく察することができます。巧みな演出。アメリカの黒人の映画として、いかにもアメリカっぽい映像ですが、心の映画として、特に前半部分は邦画にも通じるところがあるのではないかと思いました。古くは「神様のくれた赤ん坊」「菊次郎の夏」など。

 

それにしても、これだけ主人公の台詞が少ない作品ってあったかしら?というくらい主人公がしゃべらない映画でしたね。それぞれの時代、3人の主人公がしゃべらない。それでも伝わってくるものがたくさんあるという。

 

アカデミー賞作品賞受賞作品だと思わずに、気軽にふらっと観に行ってください。

 

2017年4月3日はムーンライトが900円で観られる!

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今日はここまで。 

ムーンライト

ムーンライト

 

 渡瀬恒彦↓

神様のくれた赤ん坊 [DVD]

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菊次郎の夏 [DVD]

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