おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

最初に書いておきましょう。

わたしはこの映画が好き。

 

  • 本当に大切なものはなに?
  • 人生を考える
  • くすっと笑える
  • 音楽がロック

 

101分

 

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」邦題はいまいちで原題そのままでよかったのに~、と思うことは多いですが、このフレーズは好き。フレーズとしては好き。では、この邦題が原題や映画とマッチしているかどうかと言われたら、う~ん。雰囲気は原題の「Demolition」です。破壊とか打破とか。まさに映画の内容とピッタリで、邦題のほうは叙情的に素敵感をアップさせた感じです。

 

監督 ジャン=マルク・ヴァレ

主演 ジェイク・ギレンホール

 

あらすじ

デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、出世コースに乗り、富も地位も手に入れたウォールストリートのエリート銀行員。高層タワーの上層階で、空虚な数字と向き合う、味気ない日々。

 

そんな会社へ向かういつもの朝、突然の交通事故で美しい妻を失った―。しかし一滴の涙も出ず、哀しみにさえ無感覚になっている自分に気づいたデイヴィス。

 

彼女のことを本当に愛していたのか?僕の心はどこにいってしまったんだ―?「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ。」義父からの言葉が引き金となり、デイヴィスは、身の回りのあらゆるものを破壊しはじめる。会社のトイレ、パソコン、妻のドレッサー、そして自らの結婚生活の象徴である「家」さえも―。

 

あらゆるものを破壊していく中で、デイヴィスは妻が遺していた幾つもの *1“メモ”を見付けるのだが・・・

 

f:id:banban:20161216112711j:plain

映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』公式サイト | 2017年2月18日より、新宿シネマカリテほかにて全国公開

 

いきなりの妻の死。その病院で買おうとしたm&mのチョコレート。自販機ですがチョコレートがひっかかってうまく出てこない。というありがちなエピソードから面白展開に。妻の死の直後ですし、デイヴィスは大まじめですから「面白展開」というと語弊があるかもしれませんがいいのです。

 

「妻の死から始まる映画」というと「悲しい」「泣ける」と、悲しみ一直線の映画だと思われがちですが、デイヴィスは妻の死が悲しめなません。悲しめないことが悲しいしからっぽ。

 

悲しいはずなのに悲しめないし、なんだか何も解らなくなってしまう。そういうデイヴィス現象は実際に結構あるんじゃないかな。そのデイヴィスが妻の死をきっかけに今までの生活とちょっと違う世界に目が向け始めます。

 

出会ったシングルマザーのカレン・モレノ(ナオミ・ワッツ)の世界。それは今までの世界とかけ離れた世界。自分が見てこなかった、見てこようとして来なかった事や世界がたくさんあることに気がついたデイヴィスは、気にも留めなかったこと、それが何なのか、どういう仕組みなのかが気になります。

 

そして解体、というより破壊。自分の持っているものを破壊していきます。ものも気持ちも人生も、一度解体して組立なおせばいいのよ、ということではなく破壊です。ただ破壊。まず破壊。ひたすら破壊。ロックに破壊。

 

見えなければ、気がつかなければ、そのまま鈍感に生きていくこともできたはず。でも、いろいろなものが気になって、自分の枠組みから1歩も2歩も敢えて踏み出していきます。それは、自分自身のことも破壊したかったからでしょうか。そうして、それでも生きていく。人は生きていく。それはとても苦しいことだけど、気がつかない人生と気がついて傷つく人生とどちらが豊かなのだろうか。

 

壊さないと新しいものは作れない。 

でも、本当は壊さなくもいいんだよ。

by banban

  

再構築するためには、全部ぶっ壊さなくてもよくて、それはあくまでも心の中の問題。ただ、ぶっ壊していく。力の限りぶっ壊していく。それは観ているこちら側をひやひやさせながらも、とてつもない爽快感。でも壊すことも簡単ではないの。握っているハンマーの腕も痛いし、釘を踏んでも痛いし、壊す作業は疲れる。壊すということ自体が痛みや疲れを伴うものなのです。

 

その痛みや疲れも、実際に経験しなくてはわからないこと。それを経験して、ぶっ壊したあとに何が見えてくるのか。

 

 

[広告]

 

 

ラスト近くの何でもないシーンで号泣しそうになりました。わたしもため込んでいる物が多いよなーどこかで爆発しないといいなーあれ?ここで映画と関係なく号泣しちゃやばいでしょーとぐぐっと堪えて映画鑑賞続行。

 

そんな風に堪えて日々を送っている人はわたしだけじゃないはず。大人になるにつれて、いつもの暮らしとか、世間体とか、そういうギリギリのところを何とかバランスをとって生きている人は多いのかも。そうバランスバランス。

 

何が心に響くかはあなた次第、となってしまうわけですが、全編に流れる音楽がとてもよかった。知らない曲もたくさんあったのですが、音楽を楽しめそうな映画館でもう一度観て聴きたいなぁ。

 

「人生とは何か」「妻の死を受け止める」と重苦しく考えずに、破壊の爽快感やロックな音楽。それと対極な叙情的な雰囲気を味わうために観るといいかな。

 

大好きなナオミ・ワッツがいい感じに年齢を重ねていて、ナチュラルな感じもとても素敵で、それもうれしかった。 

 

2017年2月18日公開

今日はここまで。

 

マースジャパンリミテッド M&M'sピーナッツシングル 40g×12個

マースジャパンリミテッド M&M'sピーナッツシングル 40g×12個

 

 

[広告]

 

■合わせて読みたい

*1:「幾つもの」じゃなくて「幾つかの」という感じだと思うけど。