装丁から出てくる料理からストーリーまで完全に魅了されました。
マーシャ・メヘラーンの柘榴のスープ。
主人公は両親を亡くした、テヘラン生まれの美しき三姉妹。1970年代の終わり、イラン・イスラーム革命に揺れる祖国を脱し、ロンドンに渡り、やがてアイルランドの田舎町でペルシア料理店バビロン・カフェを開く。しかし、差別や偏見、恋愛や憎悪、複雑な人間関係に巻きこまれ、三姉妹は思いもかけない運命に翻弄されてゆく……Amazon.co.jp
テヘランのイスラム革命を逃げ延びて、そしてロンドンからアイルランドにやってくる姉妹の話です。
料理が得意で、どんなハーブでも土を見極め育てられる長姉は、妹たちと来たアイルランドでカフェを開きます。名前はバビロンカフェ。
小説の中でこんなに料理がキラキラと、そして湯気を立てて表現されているものがあったかしら、というくらい、お料理が魅力的です。音を立ててわたしを呼んでいるよう。
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全部で12章。その章扉には章に関するお料理のレシピが書かれています。その料理について知っていて、さらに料理が得意なら、必ず作ってみたくなるでしょう。その料理についてはほとんど知らない上に、料理が苦手なわたしでもそう思いましたから。
湯気を立ててお湯を沸かしているサモワール。これで淹れたお茶はおいしそうですし、気持ちもあたたまる気がします。
ペルシアと、アイルランド、さらに異邦人たちのそれぞれの文化、異文化に心惹かれます。料理や装飾品や日用品。
三姉妹がそれぞれ魅力的です。お料理上手で思慮深く愛情深い長姉マルジャーンはもちろん、頑固で地道で働き者だけど頭痛持ちで結婚に失敗した過去を持つバハール。見るもの出会うものを魅了し、春の訪れを感じさせる末っ子のレイラー。
官能と癒しのペルシア料理、運命の出会いと恋、そして感動の結末へ……。流血のテヘランから逃れた三姉妹の成長物語を描き、世界13か国で出版されているベストセラー小説。作家も三姉妹同様、数奇な運命をたどったテヘラン生まれのイラン人で、本書がデビュー作。Amazon.co.jp
わたしの生家には柘榴の木がありました。
小さいころから柘榴が好きです。
ごつごつとした見た目美しくない柘榴の実が割れると、中からはルビー色をしたキラキラとした実があらわれます。
その実をもぎ取り、宝石のような小さいその粒を指でほじくりだし、噛みしめると甘酸っぱい何とも言えない味がします。
が、そのきれいな実の中には小さな種があって、それが本当に邪魔。小さな小さな種を口から掃き出し、指でちまちまちまちま柘榴の実をほじくりだして、食べていると何だか幸せな気分になったものです。
この小説ではそんな甘酸っぱい感じと、生きていくことの厳しさと両方味わえます。
そして、人生に真面目に向き合っていれば、ちゃんといい方向に行くのだという啓示をもらえます。
- 作者: マーシャメヘラーン,Marsha Mehran,渡辺佐智江
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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この本を読んで、いいな~ハーブ、そうだ!ハーブを育てみよう!と思ったのです。
章扉に出てくるレシピはこれ。
- ドルメ
- 赤ヒラ豆のスープ
- バクラバ
- ドゥーグ(ヨーグルトドリンク)
- アープグーシュト
- ゾウの耳
- ラヴァーシュ
- トルシー
- チェロウ
- フェセンジューン
- 偏頭痛薬
- 柘榴のスープ
ゾウの耳は、生地を丸く切り抜いて、中央をつまみリボン状にして、油で揚げ、シナモンと粉砂糖で食べるお菓子です。うーーーーーー食べたい!!
偏頭痛薬はナツメグ、カルダモン、クローブで作ります。軽い偏頭痛なら飲んで数分で治るバルーチ族の特効薬だそうです。効くのかな。夕べからわたしも頭痛です。こんなスパイスで作ったら飲みにくいとは思いますが、何か心惹かれます。
柘榴のスープはタマネギを飴色になるまで炒め、グリーンピース、塩、黒胡椒、ターメリック、パセリ、コリアンダー、ミント、ワケギ、米、レモン、アンゼリカパウダーと、柘榴の果汁で作ります。ラムの挽肉で作ったミートボールも入れるそうです。
これ以外にもたくさんお料理が出てきますが、やはりとりわけ柘榴のスープが飲みたいです。ザクロにあるかな。近々行こう。アリさんに会いに行こう。
今日はここまで。
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