おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

キャベツ炒めに捧ぐ[井上荒野]を読んで、猛烈にがんもどきが食べたくなった。

井上荒野の「キャベツ炒めに捧ぐ」。

食べものが出てくるお話は大好きです。

 

「キャベツ炒めに捧ぐ」は、題名通り、たくさんの料理、食材が出てきます。

キャベツ炒めに捧ぐ (ハルキ文庫 い 19-1)

キャベツ炒めに捧ぐ (ハルキ文庫 い 19-1)

 

でも、この小説のテーマは料理ではありません。

心の動きです。 

 

女たちの心の動き。

 

舞台はお総菜屋さんの「ここ家」。

ですから、たくさんのお料理が出てきます。

 

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そこに買い物に来ていた郁子。

そこで働いていた麻津子。

オーナーの江子。

 

 買い物に来ていた郁子は八日目に「たたきキュウリと烏賊と松の実のピリ辛和え」「昆布と干し椎茸のうま煮」「アジフライ」を買って代金を支払い、お釣りをもらった時に言います。

 

「あの、わたし、応募します」

 

それから、郁子は「ここ家」の従業員になります。

 

ここ家

江子(来る)

郁子(行く)

麻津子(待つ)

のストレートフラッシュ。

 

さらにそこに米屋の進むでロイヤルストレートフラッシュ。

 

女3人は中年です。

それぞれ影を抱えて生きています。

 

いえ、3人は特別ではないです。

 

影の部分がない人なんかいません。

 

誰でも何かしら影を持っているでしょう。だから、この影はそれぞれ個人のものでもあるけれど、誰にでもあてはまるかもしれないものなのです。

 

3人のそれぞれの結婚と相手を思う気持ちが描かれています。

 

そうか。

 

そんな年になっても、相手のことを思って、うおーんうおおおおーん、って泣いてもいいのか。

 

それは、ちょっと恥ずかしいけど、生きてるって、いろんなことが恥ずかしくて、それでいいんだろう。

これでもか、これでもか、と出てくるお料理たち

ああ、わたしも料理上手だったらこんな総菜屋さんで働いて・・・うーん全然無理だ。わたしには繊細さが足りない。

 

ここ家では、何か食材が見つかると、それで何を作るのかを女三人であれこれと話しあいます。そして、その日の献立を決めます。

 

うおーーーんうおーーん泣いても、甲高く笑っても、夜のお酒は止められなくても、料理に関してはみんな繊細で真面目です。

 

さつまいもと葱と炒め煮にするのに、鰤と烏賊とどっちがいいかで揉め、手がかかるアサリのフライはやっぱりあげたてでなくてはならないと、手間を惜しまず、豆ご飯は豆から炊いたほうが味がいいけど、見た目が悪くなるから、見目麗しく炊くために別茹ですることに意見が一致。

 

こんな総菜屋さんは温かくておいしいに決まってるわ!!

 

料理を紡ぎ出すことができる人は、本当にすごい。それを日常にできる人はさらにすごいと思っています。

 

料理の描写はこんな風においしそうで楽しいですが、それ以上に心に残ったのが風景描写。

 

ウインターコスモス、海辺の家、雨、風、汗、海、揚げ物のにおい←あ、これは風景じゃないか。

 

いろいろな生活の香りがしてきそうな小説です。

 

そして小説のタイトルである「キャベツ炒め」よりも強烈に印象に残って、猛烈に食べたくなったのが、揚げたての「ひろうす」=「がんもどき」です。

 

ひろうすは飛竜頭。ひりゅうず、ひりうず、ひりょうずとも。もともとはポルトガルのフィリョースだそうです。

 

関西は「ひろうす」関東では「がんもどき」

なにか音の感じからも違いが納得できる感じです。

 

食事は楽し 京風がんもの含め煮 100g×6個

食事は楽し 京風がんもの含め煮 100g×6個

 

 

そういえば、最近がんもどき食べてないなー。

 

おいしいの、どこかで見つけて食べよう。

今日はここまで。

 

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