柚木麻子のあまからカルテット。
4人の仲良し同級生が、社会人になっても、それぞれを思い、何かの時には助け合って成長する、というお話です。
仲良し四人組の探偵小説。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子。恋愛の荒波も、仕事の浮き沈みも、四人の絆で乗り越えてみせる。
4人それぞれの「すてきな人を見つけた」とか「小さいころ仲良くしてた人は今?」などの、ちょっとした事件による4章。サスペンスではないけど、それぞれの視点でそれぞれの日常の事件の謎を解いていくくだりにわくわくします。
そうだ、そうだった。
柚木麻子はこういう日常の秘密を描くことがとてもうまいんだ。
だからいつも読み進めるにつれて「あーそうだったのかー」と、思わされるんだった。ミステリーとかも書いて欲しいな。
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そんな謎解きのような章が4人分。
それぞれにおいしいものが出てきます。
単行本ではパステル調のイラストで愛らしく、キャッキャウフフな感じを醸し出していますが、
文庫では「稲荷寿司」が表紙。
そう、この本を読んだ多くの人がアレで甘みをつけた稲荷寿司にノックアウトされているはず。
ここから多少のネタバレあり
おいしそうなものがたくさん出てくる
話の中では美味しそうなものがたくさん出てきます。
- 稲荷寿司(黒糖で甘みをつける)
- 甘食(本当はマドレーヌ)
- ハイボール(グラスにもこだわる丁寧にいれた口あたりのよい)
- 食べるラー油(辛くないのに味わい深い)
この4つがそれぞれの章タイトルにもなっていてキモなのですが、そのほかにも、おいしそうなものがたくさん出てきます。
つまみに食べたい「らっきょう」「ハムカツ」「ポテトサラダ」、ああそういえば最近はコールスローばかりで、ポテトサラダ食べていないわ←わたし。
牛乳に浸して食べるココアクッキー、はがして食べるオレオクッキー、アポロチョコレート。でもヤクルト凍らせたことはないなー。
食べるラー油を入れるのはちょっと違うかもしれないけど、丁寧に作った「柚塩ラーメン」柚の香りの塩ラーメン。寒いうちに食べたかった。神楽坂のこの店「柚庵」は水餃子もおいしいらしい。この店のモデルになった店はあるのかな?
スコーンに手作りジャム。コストコのマフィン。
食べるラー油を豆腐にのせて、ああ、わたしの愛してやまない「サッポロ一番」も出てくるじゃないかー。サッポロ一番塩ラーメン!!
女同士の友情と都合良く進むストーリー
残念なことにわたしにはそういうグループはありません。
心の友よ!って、勝手にわたしが思っている人が4人くらいはいるし、彼女たちに何かがあったら最大限力を貸したいとは思っているけど、勝手に思っているだけで、実生活では遠く離れてしまっているのが現実。何か困ったことがあったら駆けつける、とか、定期的に会う、という関係を築けた女友達はいません。
だから、想像のできない部分もたくさんありますし、怖そうな気もしますし、多分わたしにはこういうグループは無理だなーって思ったり、でもうらやましくもありますし、一時期はそういうグループがあったりもしたよなー、とか。
そんな中でお話は
- そんな偶然ある~~~?
- そんなにうまくいく~~~?
というくらいに、都合良く進んでいきます。
読みやすいし、ミステリーみたいな謎解き要素もあって楽しいけれど、やはりしっくりこない。でも、最後の1章。
最後の1章は、おせち料理の話。
この最後の1章でやっとすんなり落ちてきました。
最後でストンと落ちた。最後まで読んで欲しい
そうなんだなー。
やっぱりわたしはこういう話が好きなんだ。
自分で立つ、自分で歩く話。
最後の最後まで「そんな偶然が?」と思うところはありますが、
「叩かなければ扉は開かれない」
「チャンスは自分でつかむもの」
「棚からぼた餅はミラクル。せめて欲しいなら前に出て手を出さなければ」
と、常日頃思っているわたしとしては、
うん。前に出たらそういうミラクルも起きるよね。
と、納得できる、気持ちのよい結末でした。
読みやすいので途中で挫折した人は少ないと思いますが、もし途中でやめていたら最後まで読んでください。
最後のおせち料理も心惹かれます。
この「あまからカルテット」も「ランチのアッコちゃん」もどちらかというと毒気のない話ですが、わたしは柚木麻子の毒気のある作品が好きです。
それにしてもサッポロ一番はやっぱり塩か。
今日はここまで-。
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