うちには大きなクマのぬいぐるみがいます。ずっとずっとわたしの部屋にいます。クマは比喩ではありません。何かを示唆しているわけではありません。本当のクマのぬいぐるみです。白いクマです。抱いてくれるクマでありません。わたしが抱くことはあっても。
大きな、大きなクマのぬいぐるみだと思っていたのですが、いま見るとそれほど大きくありませんね。あれ?大きくない。おっきくない。たいして大きくないんですね。なぜ大きいと思ったのか。あ。これも何かの暗喩ではありませんから。メタファーじゃありません。
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ある時、母が「ぬいぐるみもね。アレルギーのもとになるからね」と言いました。知ってるよ。アレルギー歴何年だと思ってんだ。時々ベランダの手すりに、まるで下をのぞき込むかのような感じで天日干しもしてるから...と思ったのですが、一度きれいにしてもらいたいなーと思ったのです。さっぱりして欲しい。クマにも。
で、クリーニング屋さんに持っていきました。当時、大きめの安いクリーニング屋さんには断られました。「扱っておりません」。そこで、近所のおじさんがやっているクリーニング屋さんに聞いてみました。「これくらい(両手を広げて)大きいぬいぐるみをクリーニングしたいんですが、そういうのやっていますか?」「あぁ。やっていますよ。何でもやっていますよ。パンツとか下着は困るんだけど」と陽気に言われたので、機会を見て持ち込んでみました。
クマを見るとおじさんは眼鏡を外して「うーん。このぬいぐるみかー。そうかー大きいねー毛足も結構長いねー。うーん。そうかー。まぁできないことないけど...時間を費用はかかるよ...」。
「時間かかりますか」
「うん。だってね。こういうのは手洗いだから。一つ一つ俺が手洗いするのよ。業務用だけどね。だから絶対きれいになるけどね」
「そうですか。ありがとうございます。費用はおいくらですか?」
「いやーこれはねぇ。値段がないんだけどねぇ。結構かかるよ。もうちょっと小さいといいんだけど...2000円で」
「2000円ですか?(安っ!←もっと高いかと覚悟してたから)」
「うん。いいかなぁ。2000円で。やる?」
やりますともっ!!
おじさんありがとう!!
この顛末を家族に話したら
「おじさんの手洗いなのか~おじさんと一緒に風呂に入っていたりしてね」
やめてーーーw
もうそこから何かね。
想像しちゃったんですよ。
クマと仲良く背中を流しっこしているおじさんを。
「できあがりました」という連絡をもらって、クリーニング屋さんに取りに行きました。クマはおしゃれにラッピングされていました。ありがとう!!おじさん!!
クリーニング屋さんから帰ってきたクマはへたれた様子もなく、きれいになった白い毛がふぁっさふぁっさしていました。よかったね。クマ。←未だに名前はない。
そしてそれからまたずいぶん月日は経つのですが、まだクマはわたしの部屋にいます。
◇
最近ね、ところどころハゲてるんですよ。
特に頭とか。なぜだか頭とかハゲてるんですよ。後頭部。でもかわいそうではないのです。だってそのハゲはそれだけの日々を過ごしてきた証なのですから。腹はぽてっとしていますが、何て言うか張りがないですね。たるたるしてる感じです。ハゲてて、腹はたるたるしてて、手足は細っそくなっています。典型的な中年な感じですね。えぇ。ここまで言っても、これね、暗喩じゃないですよ。本当のクマのぬいぐるみの話です。そしていいのです。その老化はそれだけの日々をわたしと過ごしてきた証なのですから。
お金を出せば、いまはネットでもぬいぐるみの再をしてくれるところが見つかりますから、ハゲているところは植えたり、足りない綿は詰め替えてもらえたりできると思うのですが(ものによる)、でも今のところこのままです。このままでいようと思います。
これを読んで思いだした話です。
洗ってスッキリ!ぬいぐるみの洗い方を紹介した記事に「こんなの求めていた」「手間かかるのな」 - Togetterまとめ
今日はここまで。
このバカでっかいのちょっと欲しい
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