大事なことなので何度も書きます。
食べ物が出てくる小説は大好物です。
この「禁断のパンダ」
タイトルもいいし、表紙のイラストも可愛いし、
「このミス(このミステリーがすごい)」の大賞受賞作(2008年)
さらに著者は、
岐阜県可児市出身。兵庫県神戸市在住。
大阪あべの辻調理師専門学校卒業後、神戸のフランス料理店に就職し、その後様々な飲食業に従事していた。拓未司 - Wikipedia
という経歴の持ち主。
うわーーーーー♡
料理についてもたくさん描かれているんだろうなー
と、期待感わくわく。
主人公の柴山幸太は神戸でフレンチのビストロを営んでいます。自分の仕事に誇りを持ち、研究熱心な若手料理人でもあります。
そのビストロ(ビストロ・コウタ)に来たわがままで可愛いお客さんと結婚をし、妻は現在妊娠中です。
その妻の友人の結婚披露宴に出席したところからミステリーが始まります。
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結婚披露宴は神戸のフレンチレストラン「キュイジーヌ・ド・デュウ」で、行われます。キュイジーヌ・ド・デュウは「神の手」を意味します。
ザガットサーベイでも賛辞されているという設定です。
ザガットサーベイ大阪・神戸・京都のレストラン〈2008/09〉
- 出版社/メーカー: CHINTAI
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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パリの三つ星レストランを凌ぐほどの驚愕の味
信じられない別世界の美味が待っている
という、最大級の賛辞がつけられているお店です。
平均価格は1万5千円。
高いですが高級フレンチとしてはそれほど高くないので、超人気店で予約が取れない有名なお店です。
そしてビストロ・コウタは十坪ほどの広さの小さいお店。
ランチメニューなら、メイン1皿にパンとサラダを加えて盛りつけるワンプレーとランチという、よくよく見かけるお値段手頃のビストロです。
幸太は自分で市場へ行き魚介類を選び、メニュー表を印刷せずに、その時、その素材にあった料理を作るようにしています。小さいお店であってもいつも作り手のこだわりを忘れずに料理をしています。
このキュイジーヌ・ド・デュウでの料理の描写と、ビストロ・コウタでの料理の描写がとてもいいのです。
行きたいわ!
行きたいわ!!
どっちも行きたいわ!!!
さほどフレンチに詳しくないので、
(・_・)......ン?ナニソレ
というものもあるのですが、料理名と料理の描写で充分楽しめます。
そのままフレンチを食べに行きたくなります。
おいしいビストロ(・_・ ) ( ・_・) ドコドコ?
「あーあ、こんなビストロが近くにあって、定期的に通えるようだといいなー」
とか妄想もしてしまうわけです。
幸太と妻のやりとりも素敵です。
関西の明るい二人という感じです。
ですが!
ですが!!
新進気鋭の料理人と、人間離れした味覚を持つ料理評論家がのぞき見た闇とは
です。
ミステリーですから
闇ですから
そんな甘っちょろい話ではないのです。
ここから軽いネタバレ
ミステリーですから、人も死にます。
かなり死にます。
ううううう
読後感は最悪です。
おそらく著者は食を愛する人だと思うのですが、なぜここに行っちゃったのか。
これは「このミステリーはすごい」への応募ですから、センセーショナルだったり、意外性があったりする必要はあったのだと思います。
だが、なぜぇええええええ?
と、食を愛する(食べることを愛する)わたしにとってはとても後味の悪い読後感となりました。
本の冒頭からは全く想像できない結末。
先の見えない思いがけない展開。
という点では素晴らしいと思います。
ううう。気持ち悪いんだけど。
そして、問題のラストシーン。
これ、何度も何度も読み返してしまいました。
そういう点ではやっぱりミステリーとしては良いのかもしれませんね。
幸太はアレを食べたのか?
はい。
食べていません。
あれを食べたのは、一人残された神の舌を受け継ぐ息子の貴史です。
ここ読み間違うと、続編の蜂蜜のデザートでも幸太に
「お前はまだ店なんかやってるのか?!」
と、思ってしまいます。
読み終わってスキッと爽やか!とは対照的な気分になるミステリーですが、読みやすく、登場人物はイキイキとしているので、
機会がありましたらどうぞ召し上がれ。
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