日本公開は1997年で1996年制作の映画ですが、舞台は1950年代。
監督・主演は、スタンリー・トゥッチ。Shall We Dance?のアメリカ版の竹中直人の役を演じた人だったかー。そのスタンリーが弟のギャルソンのセコンド(←セコンドという名前)を演じています。ギャルソンは男性給仕。ウェイター。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
田舎町のレストランで働く兄弟の絆を描いたコメディ。レストランを営んでいるイタリア移民の兄弟・プリモとセコンド。ふたりは町に有名な音楽家が来ることを聞き付け、宣伝のためにと晩餐会の準備を始めるが…。“ハッピー・ザ・ベスト!”。
内容(「Oricon」データベースより)
全米批評家協会賞、サンダンス映画祭など世界映画祭で大絶賛された傑作ドラマ!イタリアからアメリカに移住し、レストランのシェフを務める兄と、経営を担当している弟。最高級の味にこだわるあまり客足が伸びず、今やライバル店に買収されようとしていた。そこでレストランのプロモーションのため、大晩餐会を開催しようと全財産を注ぐのだが…。
兄のシェフのプリモはトニー・シャルーブ。あれ?これは?...お髭だから最初はわからなかったけど、おぉ!!モンクではありませんか。海外ドラマ通なら一度は見たことがあるでしょう。名探偵モンクのまさしくモンク。
弟セコンドはギャルソンで、兄プリモがシェフ。二人はアメリカで本格派のイタリア料理を出すレストランをやっています。こだわりのシェフである兄は経営のことなどに頓着せず、本物のイタリアンを客に提供すること、自分の料理を全うすることしか考えていません。気に入らない客に文句を言ったり(だが、根は小心者なのか、直接文句は言えないところが可愛い)知り合いの画家もどきに絵と引き換えに食事をさせたり、採算度外視。向かいには叔父の店があり、遅くまで大繁盛していますがプリモは「あんな料理は素材のレイプだ!レイプだ!レイプだ!」と全く認めません。
もちろん店は傾いていくわけです。
セコンドは銀行に融資を頼みに行きますが、断られ、ハイテンションな叔父に融資を頼みに行きます。叔父からも融資は断られますが、代わりに秘策を授けられます。それは叔父の知り合いのジャズ歌手のルイ・プリマを呼んでパーティーを開くこと。叔父がルイ・プリマを呼んでくれることになり、セコンドは最後のなけなしの資金を投じてパーティーの準備をしていきます。
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悲壮な覚悟を持って開くパーティー。これに失敗したら破産。先も見えない。どうしようもない。そんなパーティーですが、準備の様子が楽しいんですよ。食材や料理の下ごしらえ。それにお酒を注文するときに、セコンド。前半、純情なイメージを見せていたセコンドが、あれ?あれ?
知人や恋人を招いてパーティーは始まります。主役であるはずの歌手はどうした?そして...この先は言うまい(あとでネタバレ)
◇
救命医ハンクのボリス役のキャンベル・スコットもお金持ちの役で出演。今は渋みと凄みも身につけているけど、若い感じのキャンベル・スコットもいいなぁー。金持ち役が似合う似合う。
ちょい役のレオにわたしのイチオシ海外ドラマのレイ・ドノヴァン ザ・フィクサーのリーヴ・シュレイバー。若いけれどやっぱり強面の役なのね。
女たちも美しくて魅力的。
ガブリエラはブルーベルベッドのイザベラ・ロッセリーニ。イングリット・バーグマンの娘なのですね。うーん。美しいわけだ。
とと姉ちゃん(NHK朝のテレビ小説)を観ていても思うんだけど、この頃のファッションって3周くらい回って、今とてもオシャレに見えますね。女性のドレスやワンピース。シャツも可愛いなぁ。
◇
服装以外にも時代を感じさせるのが煙草のシーン。客の女性がテーブルで食事をしながら喫煙するシーンもあって、今ならマナー違反!!って店から出されそう。いやそもそも、建物内全面禁煙だったりするよね。煙草は時代を感じさせる小道具になるんだなぁ、としみじみ。
まだまだイタリア料理に馴染みがなかった1950年代。シーフードの影も形も見えないシーフードリゾットにクレームをつけられ「あいつらシーフードがどかんどかんと乗ってないと満足しないんだ」(うろおぼえ)的なことをプリモはぼやきます。
「イタリア料理でしょ?パスタを出して。ミートボールは乗ってるわよね?」
これは笑えない。「アメリカ人って本当にもうーー」なんて笑えない。日本だってばあちゃん世代とかちょっと前まで、イタリアンと言ったらパスタでしょ?え?お肉料理も魚料理もあるの?って言っていましたから。昭和の日本で言うイタリアンは、ケチャップトマトソースのナポリタンやミートソースだから。今でも「イタリアンってパスタ屋でしょ。ピザ食べるの?」って言うのを聞いたりするから、笑えない笑えない。日本から見たら同じ洋食の、しかもイタリアからの移民がいるアメリカの1950年代でも、そういう認識だったのかーと思うと感慨深いです。1950年と言えば朝鮮戦争の頃か。日本が戦後5年目で、とと姉ちゃんの時代かぁ。
ミートボールがのっているパスタと言えば、これですよ!これ!!
ルパン三世 カリオストロの城ではないのです。
わたしにとっては、ミートボールパスタはわんわん物語。
ミートボールを鼻で転がして食べさせてくれるシーン素敵♡
ちょっと調べたらこの映画は
1955年6月16日公開
おお!!!ドンピシャ!!!
ちょうどそのころのお話ですからね。リストランテの夜。 ミートボールのせたパスタを注文した客も「わんわん物語」を見ていたのかしら。
◇
パーティーはとても素敵。飲んでしゃべって飲んで笑って飲んで踊って飲んで歌って、そして観る方も楽しくくたびれてきたころに、パーティーはこれからだっ!!お食事開始です。
スープから始まって豚の丸焼き、そしてデザートまで。
三食のリゾット。プリモがこだわるだけあっておいしいんだろうなぁ。
ティンパーノ。ティンパニのようなボウルに、パイ生地(パスタ生地?)を敷いて、その上に具材をたっぷりと詰めて焼いたもの。これはプリモの家の秘伝の味らしい。ボウルをひっくり返して、おおおおお。まわりが焼けているかタプタプと掌で確認。中は大丈夫かどうか。本当は冷ましてから切り分けるらしい。うーん。食べたい!!これはまさにパーティー料理ですね。
ここからネタバレ
すべてをつぎ込んだパーティに、とうとう歌手のルイ・プリマは来ることはなく、時は過ぎていきました。ビジネスマンである叔父はルイ・プリマに電話をかけることはなく、プリモやセコンドを自分の店に引き抜こうと思っていたのです。
ここで思いがけずに歌手が登場して...
なんてことは起きず、海岸で兄弟はやっと本音を言い合い殴り合いの喧嘩をします。イタリアに帰って親戚のレストランを手伝うつもりのプリモ。絶対に帰りたくないセコンド。食い違う二人の考え。人生。
原題は「Big Night」Bad Nightかと思った。
翌朝、ぼろぼろになったセコンドは店で目覚め、従業員に代わって卵料理を作ります。何の希望もない。もう何もない。どうしたらいいかもわからない。
フライパンを温め、卵を溶いて塩胡椒、フライパンにバターを落として、卵を焼き始めます。そう。プリモの分も。
やってきたプリモも一緒に食べます。絶望しているはずなんだけど、なんだかすっきりしているようでもあるし、しみじみ。
余韻たっぷりのこのラストシーンが好きです。
ラストシーンのあと
店はどうなるのでしょうね。
二人はどうなるのでしょうね。
もしかすると
今日はここまで。
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