食べ物が出てくる本や映画が大好きです。
これはその1つ。
フランス大統領フランソワ・ミッテランの個人シェフを1980年代に2年間勤めたダニエル・デルプシュをモデルにしたお話。
ほら、もうそれだけで、絶対おいしい映画に違いない。
豪華絢爛、間違いない。
その一皿がフランスを変えた?
うーん。
それが、そうじゃないんですよ。
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大統領の料理人
これ↑↑
とてもキラキラと美しく写っていますが、映画の中ではちょっと違います。
おばさん。
ユーモアは忘れないけど、猪突猛進の厳しいおばさん。
ダニエル・デルプシュを演じているのはオルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)
まず冒頭
「あれ?間違って借りて来ちゃった?」
と思ってしまった南極に向かう船の映像から始まります。
あれれ?南極の話?
南極フランス領の科学基地。取材に訪れたオーストラリアのTVクルーは男だけの南極基地に女性がいるという事実に興味を持つ。その女性は基地の専属シェフ、オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)。そして少しずつオルタンスの人生が明かされて行く
オルタンス・ラボリは、フランス大統領官邸のエリゼ宮を去った後、南極にいました。なぜ南極で1年間働くことにしたのかは、最後に明らかになります。
……フランスの片田舎で小さなレストランを営んでいたオルタンスの元にスカウトマンがやって来て、なんと大統領官邸のプライベート・シェフにならないかとの誘い。新しい勤務先 エリゼ宮厨房の官邸料理人たちの嫉妬や思惑が渦巻く中で本当に「美味しい」料理の数々を披露するオルタンス。最初は遠くから眺めていた同僚たちも彼女の料理の腕と情熱、人柄に刺激され協力するように。そしてミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)の心をも捕らえていく……。映画『大統領の料理人』公式サイト
ミッテラン大統領は地味な普通の食事を望んでいました。だからこそオルタンス・ラボリが選ばれたので、キラキラとした豪華絢爛なパーティー料理はありません。どこかのビストロでも出されるような素朴な料理。
ですが、その素朴な料理の中にも、オルタンスはこだわりを捨てません。素材を厳選し、エリゼ宮の約束事をそれなりに守りながらも、料理に関しては妥協せずに作っていきます。
エリゼ宮のキッチンは男社会。何年も何十年も働いてきているシェフ達は、いきなりやってきたオルタンスに非協力的で、オルタンスも馴染めません。美味しい料理を作ろうとすればするほど、エリゼ宮の枠からもはみ出してしまいます。
でも、その一生懸命は周りの人を少しずつ巻き込んでいきます。
大統領に料理を喜んでもらえているだろうか。
にんじんの葉まで大統領は満足そうに食べてくれたと聞き、オルタンスは安堵します。
大統領とも話す機会を得て、喜んでもらえていることを確信します。
深夜のキッチンにふらっと訪れた大統領に作って差し上げた、トリュフのタルティーヌ。
こんな感じです↓↓
が、それでも制限は増していきます。
で、辞めてしまって、その後、南極へ行くわけです。
フランス変らないじゃん。
フランス映画だなーって思いました。
アメリカ映画なら、もっとわかりやすく作るんじゃないかと思いました。
成功を収めて、みんなとも和解して、
みたいな。
でも、そうじゃないところがいい。
オルタンスはシェフ達との最初のまかないの食事をすませると「あいつらとは食事しないわ。失礼よ」と、言い切ります。
オルタンスが努力したり手間を掛けるところは、料理に通じるところなんですね。それは気持ちよいです。人にはそれぞれ容量があるから、何かをするには何かを捨てたり、無視したりしないとやれないよな、と改めて思いました。
それにしても、オルタンスのキッパリサッパリした話し方(フランス語わからないけど)、歩く姿、料理の手が魅力的。
本を片手に読んでいる姿もとても素敵。
すっくと、凛としている立ち姿。
ああ、そんなおばさんになりたい。
ダニエル・デルプシュのインタビュー。
フランス語、何もわかりません。
残念。
でも話し方がオルタンス・ラボリと似ていると感じました。
この映画の中では、フランスを変えた、とまでは言えないと思いますが、映画に描かれていないその後、最高の素材を作るためにお金を手に入れ、畑を作り、フランス料理を世界に広めた、そういう意味ではフランスの食を変えたと言えるでしょう。
大統領の料理人の料理
公開当時は、映画に出てくる料理を食べられるレストランがありました。
ポルチーニ茸のスクランブルエッグ
仔羊の背肉のロティ 香草パン粉焼き
サーモンのファルシ
牛フィレ肉のパイ包み焼き
サントノレ おばあちゃんのクリーム
尼さんのおなら(ペドノンノ)
サーモンのファルシ食べたい!
キャベツとサーモンを重ねて、布巾で包んで煮た料理です。
このサーモンのファルシと、牛フィレ肉のパイ包み焼きは見た目も美しいお料理。ちょっと頑張れば再現できそうです。いや、わたしは無理ですが。ロールキャベツもできないので・・・
料理もおいしそうで美しいけど、オルタンス・ラボリの料理にたいしてのひたむきさ、頑固さ、夢、凛とした美しさも味わってください。
今日はここまで-。
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