せ...狭い...
ものすごく狭い世界で語られるミステリーの短編連作です。
仲良しの3人は定期的に集まります。仲間の一人である長江が住んでいる小さなワンルームマンションに集まり、そこで飲んだり食べたりします。食べることもお酒を飲むことも大好きなトリオです。
そしてそこにそれぞれの友人や知り合いや同僚など一人をゲストとして呼びます。
ゲストと3人はお酒とツマミを囲みながら、ゲストの話を聞き、ちょっとした謎を解く展開になります。
生牡蠣とスコットランド アイラ島のシングルモルト
チキンラーメンとビール
チーズフォンデュとアメリカ オレゴンのシャルドネ
豚の角煮と泡盛
ぎんなんと静岡の純米酒
そば粉のパンケーキとブランデー(ポールジロー)
スモークサーモンとシャンパーニュ(パイパー・エドシック)
ワンルームから出ません。
全ての話はワンルームで終わります。
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こんなことがあったんですよ(ミステリー)
それはこういうことじゃないかな(謎解き)
という感じです。
これは、近藤史恵のタルト・タタンの夢の感じとも似ています。
こちらはお店でしたが、「Rのつく月には気をつけよう」は、ワンルームマンションの一室ですから、さらに狭い(笑)
どのお話にも、お酒と料理(つまみ)がセットで登場するので、お酒が好きな人ならなおいっそう楽しめると思います。
タイトルがいいですね。
Rのつく月は牡蛎を食べてもいいけど、それ以外の月は牡蛎はダメと言われています。
なのに、タイトルは「Rのつく月には気をつけよう」です。そこからして心惹かれます。
ミステリー自体は、人が死ぬわけでもなく、
・あなたが牡蛎にあたったのは多分
・なぜチキンラーメンが部屋に
・彼はどうしてかたいパンをプレゼントしたのか
・彼女の豚の角煮がかたかったのは
・ぎんなんを食べようね、って言ったのは
・甲殻アレルギーなのになぜ
みたいな、食べ物にちなんだちょっとした謎です。
これを悪魔的天才的な頭脳を持つ長江が、ゲストにやさしいまなざしを向けながら謎解きをしていきます。
悪くない。
悪くないのですが、この手の話を読むと少しだけもやっととするのは、たぶんわたしにこういう永遠の仲間と言えるような友人がいないからでしょう。
それは、ここでも書きました。
うらやましいわけでもないし、だからそういう友人を作ろうというわけでもないのですが、もやっとしたり、ちょっと無理だなと感じます。
ということで、最終章を読むまでに時間がかかってしまいました。
何冊も平行読みしていたりもするので、他の本を読了してなかなか戻って来れませんでした。
最終章は予想通りの展開でした。
多分そうだろうな、と思っていたのです。
わかってましたよ。
あれも。
これも。
どうでしょうか。
わかるでしょうか。
今日はここまで。
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