NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」を観ています。面白いドラマ。気持ちがよいドラマ。若い人から高齢者まで「あさが来たはいいわー」とわたしの周りでも絶賛する声がやみません。毎日楽しみに、そして晴れ晴れとした気持ちで観ることができます。
舞台は江戸幕末から明治。
主人公は白岡あさ。
広岡浅子がモデルです。
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江戸幕末ー明治は激動の時代なので、それだけでも面白いわけですが、細かいところでクスッとさせられる仕掛けがたくさんあって、ああ、よく練っているな、視聴者のほうをよく向いているなと思える脚本です。
江戸幕末の両替屋の加野屋に、お金を借りに来る新撰組。その土方歳三に山本耕史。山本耕史は大河ドラマで土方歳三役で出ています。NHKファンなら「待ってました」なわけですが、そこに「待たせたな」というセリフ。
福沢諭吉役に武田鉄矢。いつの間にか武田鉄矢は「金八先生」というよりも、幕末明治が似合う人のイメージになりました。えぇ、でも、もちろん説教する説教する。それが「ああ、こういう人はこういう風に周りに向かってものをいうんだろうな」と思えてきて、面白くて気持ちがいいです。
と、脇役で出演している人たちの役作りも申し分ありません。
この主題歌も年配者にうけがよいです。
「AKBっていいわねぇ。あんまり歌は知らなかったけど」というおばあさんが結構いました。この曲は昭和の歌謡曲。昭和のフォークソングぽいテイストで、昭和の人、年配の人にはすごく懐かしい感じがする曲だそうです。確かに。確かに。
ということで、NHKの朝ドラをいつも見ている人なら、どの年代の人、誰に聞いても、この「あさが来た」はとても評判がよいです。「途中から見始めた」という人はいますが「途中で観るのをやめた」という声も、わたしのまわりでは聞こえません。確かに観ていて気持ちがよいのです。なぜでしょう?
主人公のあさを演じるのは波瑠。「夏目雅子を彷彿とさせる」と、わたしの身近なおばさまもおばあさまも大絶賛ですよ。年配うけもいい、可愛らしいけど迫力ある演技もできる素敵な女優さん。
みんなあさが大好き
少女漫画の鉄板。素敵な男性が複数人いて、そのどちらもあさが好き。でも、そんなことにはちっとも気がつかない主人公。「あさが来た」では、あさと進次郞と五代。
でも、あさは進次郞一筋、というところもいい。
進次郞と五代のみならず、恋心ではないけれど、炭鉱のみなさん。両替屋のみなさん。銀行のみなさん。商工会のみなさん。ここでもあさは愛される。みんなあさが大好き。でも、あさは気がつかずに真っ直ぐ進む。目的に向かって無邪気に真っ直ぐ進んでいく、少々の悪意に悪意を返したりしない、そんなあさを嫌いになるものですか。
あさを嫌いになる要素が1つもない。
五代ロスともいわれた、ディーン・フジオカのファンも爆発的に増えたと思われ。
あさの生き方だけが正しくて立派なことなのか
猪突猛進のあさと対照的に描かれるのが、耐えて忍ぶ姉のはつ。はつは宮崎あおいが安定の演技でしっとりと演じています。
二人の生き方は全然違いますが、それでも二人はお互いを認め合い、自分にプライドを持って生きていきます。あさをちょっと「うーん」と思っても、はつが出てくると許せちゃうということも。
あさの夫の進次郞は、遊び人でふーらふーらしていますが、あさのことが大好き。はつの夫の惣兵衛は、冷たい人のようでしたが、実は愛情深くはつのことが大好き。どちらの夫も両替商や金儲けにはあまり気持ちが進まないという人です。
登場人物それぞれがそれぞれの思いで生きていきます。その誰もを、このドラマでは否定していません。
あさのように仕事に生きるもヨシ、はつのように家庭や夫を支えるように生きるもヨシ、進次郞のようにふーらふーら生きるもヨシ、惣兵衛のように商業を捨てて農業で生きるもヨシ、友近が演じるうめのようにあさに一生を捧げるもヨシ、美和のように自分の店を持って自分の世界を作るもヨシ。
そうです。誰も否定していないのです。それは炭鉱で爆発事故を起こしたサトシや、あさを刺してしまった萬屋さんまでもです。そこに至る経緯を丁寧に描き、肯定的な落としどころを視聴者に残してくれます。そしてあさも思います。「もっとやりかたがあったのではないか」と。
みんなちがってみんないい。どんな人でも、どんな生き方でも。
このドラマの中では「それは違う」「こうすべき」という正義の目線はありません。だから「わたしはあさみたいにはなれないし、なりたくもない」という人でも、気がつくとあさを応援していたり、あたたかく(ドラマを)見守れるのだと思います。
朝のドラマは昼ドラや夜ドラとは違い、徹底的に悪い奴や、しつこくしつこく悪意を持ち続ける人はあまり出てこないのが通常です。その中でも、これだけ全方向全方位を肯定するドラマは珍しいのではないかと思います。そしてそういう善意っぽいところが鼻につかないように上手に丁寧に描いている脚本はすごいと思います。
衣装とかもわくわくするの
幕末ー明治ですから、衣装を観るのも楽しみの1つ。映像もきれいめなので、録画したものを2回観ても楽しめるドラマは久しぶりです。
こういうところも年配の人*1にはうけているようです。
友近がよかった
出演者全員よかった!!と思えるドラマは滅多にありませんが、「あさが来た」はその1つです。出てきた人がみんないい。
ドラマに俳優さんじゃない人が出ていて、ドラマの場の雰囲気を壊してしまうこともあります。このドラマでも友近が出ると聞いて「うーん」と思っていました。あのアクの強い友近はどこまで行っても友近ではないかと。そしてわたし友近がもともとあまり好きではなくて。
でも、いいほうに裏切られました。友近のおさえたおさえたおさえた演技。アクが強いどころか、舞台俳優さんのように絶妙な表情と間で感情がこぼれでる演技で、とてもよかったです。
最近は白髪まじりになってきてて(役の中で)、脇役ではありますが、ますます重みを増してきています。友近、好きになったかも。
わたしのおすすめはこっち。
2016年4月2日(土)が最終回
あと、残り1ヶ月ちょっとで最終回。
劇中で使われていた言葉で、頭に残った言葉をさらってみるとこんな感じ。
- びっくりぽん(あさ)
- ぱちぱちはん(あさ)
- ふーらふーら(進次郞)
- 大福餅みたいにわろて(今井忠政)
- へーへー(山崎平十郎)
- あ・さ・ちゃん♡(白岡正吉)
- ほんに、ほんにー(女中頭かの)
なんといってもイチオシは「びっくりぽん」だと思いますが、わたしの中では「ほんに、ほんにー」がブームでした。
総集編もやるでしょうし、オンデマンドでも1話から観られます。
あと少し楽しみにしておきましょう。
今日はここまで。
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*1:ここでの年配の人=わたしの観測範囲での年配者、です。