ある一定の年齢の人なら、マイケルJフォックスの出演作の1つは見たことがあるでしょう。
一番有名な映画は、ほら、あれですよ。
バック・トゥ・ザ・フューチャー。
デロリアン かっちょよかった!
もちろん、タイムマシンとしては使えませんが、今年の春、デロリアンが発売されました。
ドラマなどでも、バック・トゥ・ザ・フューチャーリスペクトみたいなシーンが挟み込まれるのを見ます。スーパーナチュラルでも「天使はデロリアンもってるのか?」というようなことをディーンが言ってました。あのあたりはバック・トゥ・ザ・フューチャーのパロディっぽいシーンです。
SUPERNATURAL / スーパーナチュラル 〈フォース・シーズン〉セット1 [DVD]
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スーパーナチュラルといえば、ディーンの愛車「インパラ」もデロリアンに負けず劣らず印象的!
はてなのみなさまは、「定期的に出回るデマ」でも、ご存じかもしれません。
バック・トゥ・ザ・フューチャーのデマが出回る(1年ぶり5&6度目) - Hagex-day info
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さて、本題です。
「ラッキーマン」「いつも上を向いて」
この2冊の中に書かれていることは闘病だけではありません。
「ラッキーマン」ではマイケル・J・フォックスの生い立ちや、スターになるまでのこと。華々しい活躍とセレブの生活。そして、妻トレーシーや家族をどれだけ大切に思っているかなど、パーキンソン病以外のこともたくさん書かれています。
たくさん書かれているので、実はちょっと読みにくく感じます。日本語訳も多分正確さを期したのでしょう。小説のように読みやすくはなっていません。さらにラッキーマンは時代も行ったり来たりするので、わかりにくいところもあります。とはいいつつ、難解ではありませんので、「あれ?あれ?」とひっくり返しながら、読み続けることができます。
「ラッキーマン」は時代ごとに書かれていて、「いつも上を向いて」は、「仕事」「政治」「信仰」「家族」を語る形になっています。
マイケル・J・フォックスや、パーキンソン病に興味があって読むのであれば、「ラッキーマン」からをおすすめします。
マイケルJフォックスの生活とパーキンソン病の発症
カナダのモントンからアメリカにやってきたマイケルは、とんでもなくビッグになっていきます。ハリウッドスター、ハリウッドセレブのマイケル。ピークの時の生活はとんでもないことになっていました。めまぐるしいスケジュール。毎夜繰り広げられるパーティー。
そしていつものように夜のどんちゃん騒ぎを終え、マイケルはプレジデンシャルスイートで目をさまします。差し込んでくる日差しをよけようと、手で目をおおおうとしたとき、自分の異変に気がつきます。
小指が震えぴくぴく勝手に動いている。
踊る小指のコーラスライン。はしゃぎすぎの小指ちゃんたち。
小指が反乱を起こしているのです。
冷静になろうとしても、自分の異変にパニックに陥るマイケル。
最初にかかった医師からは、「パーキンソン病」の診断はありませんでした。違和感を覚えながらもほっとし、映画撮影に戻るマイケル。それから長いこと自分に違和感を抱きつつも、マイケルはその症状を否定しつづけ、否定しつづけ、否定しつづけ、どうにも否定できなくなって、妻のトレーシーに促されて、あらためて医師の診断を仰ぎます。
そして、のちにかかった医師の診断から、若年性パーキンソン病(退行性の神経疾患)を告げられます。
初めて聞くパーキンソン病。
変化は内側で起きている
病名を一人で聞いたマイケルは、建物の外に出ます。
まったく新しい世界に入りこんだような気がした。実際には、ぼくが優秀な医師とすごしていた1時間のあいだに世界はほとんど何も変わっていなかった。
マイケルほどのことではありませんが、この感覚、わたしも味わったことがあります。衝撃を受けて、呆然とし、体がふわふわとした感じを味わいながら、エレベーターでビルを降り、建物の外に出て、青空と光と街路樹を見たとき、まるで別の世界に来たような気がしました。来たときと同じ町並みなのに。
マイケルはこの診断を親しい人、家族や仲間、ごくごく親しい友人にも隠そうとします。
7年間も。
パーキンソン病の進行
北米でも10万人に一人という高倍率で選ばれた若年性パーキンソン病。ピクピクと動く体は俳優としても、家族としても致命的とも思われます。ですが、マイケルは薬と環境を変えながらそれでも俳優としてやっていきます。
その映画も見たことがありました。もちろん、少しも病気を感じませんでした。
え?あのときにすでに症状に苦しんでいたの?という映画も。
アルコール依存
彼が闘っていたのはパーキンソン病だけではありません。アルコール依存とも闘っていました。
もともと小柄でお酒の弱かったマイケルは、一時期パーティなどで酒を飲んで羽目を外すことはあっても、その後は(酔っぱらった姿などを見せたこともない奥さんのトレーシーと生活をともにすることで)お酒から遠ざかっていました。
ところが、
パーキンソン病になり、その状況から逃げ出したいという欲求の直接の捌け口をアルコールに求めてしまった。
陰気に、人に隠れて、ぼくは酒を飲んだ。
お酒がパーキンソン病と一緒に闘ってくれる友だと考えていたのです。でもそれは違いました。ひどい間違いでした。
とにかく1日1日飲まないでいるということを続けることが英雄的行為だった。
もっと大変なことになる前に、マイケルはお酒と分かれることを決めて、それを実行し続けました。
オンとオフのコントロールをしながら仕事を続ける
マイケルは薬を上手に使いながら、オン(薬が効いていて症状がやわらぐ)とオフ(薬が切れて症状がでる)をある程度コントロールしながら、テレビドラマを作り続けます。
コントロールがうまくいかず、症状が出てしまったら、それが大切な約束であろうと、直前にキャンセルせざるをえません。周りの人にもたくさんの迷惑を掛けていることはマイケルにも解っていました。それでもできるだけ隠し通そうと思ったのは、観客との関係です。
観客を笑わせることがぼくの最大の喜びだったのだから。
マイケルは、観客がマイケルの症状に気がついたら、それは観客にとって面白くないことだろう、と考えていました。
確かに、笑いは微妙なものです。観客を笑わせたり楽しませるための冗談は、絶妙なのタイミングで起きるもので、その時に、引きずる足に注意が向いたりするようなことがあれば、冗談は不発に終わるでしょう。
そのため、マイケルはパーキンソン病であることを隠し続けます。
カミングアウトは1998年。パーキンソン病の資金不足のためにできることはたくさんあった
カミングアウトは1998年。すでに7年が経っていました。カミングアウトしてから、テレビドラマ「スピン・シティ」でも役割分担をしやすくなったり、ノミネートされながらも3回逃していたエミー賞も受賞します。
国が出すパーキンソン病研究費を増やすために、ワシントンD.C.で開かれた上院歳出小委員会公聴会でも発言をします。
カミングアウトから1年。マイケルはパーキンソン病と戦う宣言を自ら公の場でしたのです。
この病気は贈り物である。これからも受け取り続けなければならない贈り物だ。
病気のために基本的な人生の決断を迫られることになるマイケル。仕事、生き方、生活、それらを選ぶ、第二の道を選択することになったことは「贈り物である」とマイケルは考えました。
この神経系統の病気にならなければ、ぼくはこの贈り物の包みをあけることは決してなかっただろうし、これほど深く豊かな気持ちにもなれなかったはずだ。
だからぼくは自分のことをラッキーマンだと思うのだ。
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さいごに
「ラッキーマン」の中で、わたしの心に残っているエピソードがあります。パーキンソン病患者用のオンライン・チャット・ルームに書きこまれたものです。
今朝スーパーに行ったら、レジ係の人からどうしてそんなに手が震えているのかと訊かれたの。パーキンソン病なのよ、と言ったら、レジ係の人はすごく興味を示してこう言ったわ。「あら、マイケル・J・フォックスみたいじゃない」って。ここ何年ものあいだで初めて、気まずい思いをせずにすんだわ。
知らないことが怖れや偏見をうむことがあります。知ってしまえば、お互いに気楽になれることもたくさんあります。
そういう意味でも、きっかけを作りやすい、有名人や著名人が病気をカミングアウトしたり、研究費や治療に向けての何らかの行動を起こすことは意義があると思います。
知っているようで知らないことはたくさんあります。それを、認知するため、知るための何らかの動きは、ややもすると人をもやもやさせたり、反対の気持ちを持つものもありますが、(人を騙すものでなければ)わたしは歓迎の気持ちで見ています。それで研究が進んだり、理解しようとする人が増えてくれば、それはよいきっかけになったと言えるでしょう。
きっかけ大歓迎です。
あとは自分で考えて、できることを、できるときにする、と、したいと思っています。
マイケルが最近出たドラマに「グッドワイフ2」があります。
自分の病気をフル活用(悪用)する嫌な弁護士なんですが、こいつがとてもいいのです。元気はつらつ飛び回ってみんなを笑わせているマイケルもよかったですが、このギクシャクした感じのおじさんもまたいいです。
機会があれば、いいおっさんになったマイケルも見てください。
今日はここまで~
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