春に母が荷物を整理しているときに「あんた、これいらない?」と差し出したのがシッカロール。「入院したときに使っていたんだけど、もう使わないから」
わたしも今は使わないし、古いものだと思うので「うーん」とためらっていると、母が
「小さいころ、あんたはいつも汗まみれで、おかっぱの髪の先から汗がしたたっているような子だったよねぇ。夏になると頭から水を浴びたみたいに汗だくになって、アセモを作っていたから、お風呂からあがると、これつけてあげて。うん。あんたもこれ好きで、つけてつけてーって喜んでいたの覚えてる?おじいさんは、これ天花粉(てんかふん)って言ってけど、今はベビーパウダーって言うの?今はこれみんな使わないのかね」
なんて、懐かしいことを言い出したので、無碍に「いらない」とも言えず「じゃぁ、もらうかな」ともらってきました。
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シッカロールはベビーパウダー。シッカロールは商品名ですが、おじいさんはどれのことも天花粉って呼んでいました。
昔はあせも対策や汗対策に使いましたが、いまは汗腺をふさいでしまうということで、あまり使いませんね。なにより洗面所が粉だらけになるのが嫌。
つけてもどうせドロドロになっちゃうしベタベタしちゃうし。
洗面所に置きっぱなしにしていたシッカロール。昨日、ふたを開けてつけてみました。
ああ。そうだ。
この香りだ。
この香りと蚊取り線香の香りが夏の香りだった。あと、よく畳で倒れこんで寝ていたから藺草の香り。それがわたしの小学生の夏の香りだった。
洗面所に粉が落ちたって汚いものでもないし、つけてみようかと、パフにつけて首や胸元、首の後ろにハタハタとつけてみたら、ほんのりいい香り。
昨日はなんとなくその香りが鼻の奥に残っていたのか、一日中いい香りでした。
ほんのりといい香りの天花粉。今年の夏の香りとして、しばらくつけてみようと思います。
今はいろいろ種類があるんですね。
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