おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

静子の日常[井上荒野]スターな彼女の捜しもの[ソフィー・キンセラ]

井上荒野の他の作品が読みたかったのですが、先に手に取ったのがこれでした。

静子の日常

装丁も好み。

こういう本はカバーを掛けないで読みます。

静子の日常

静子の日常

 

  

帯に書かれているのがこれ。

何かが過剰で、何かが足りないこの世の中今日も出くわす<ばかげた>事象を宇陀川静子・七十五歳は見過ごさない

チャーミングで痛快!直木賞作家の最新長篇小説。

 

その帯の端に吹き出しで、まるで読者のコメントのように書かれているのが

 

おばあちゃんは、あなどれない

宇蛇川るか・高一

 

この

おばあちゃんは、あなどれない

が、強く残ってしまいました。

 

確かに静子おばあちゃん、侮れない。

 

エピソードは27!

長編ですが、短編のように短くエピソードが綴られていています。

 

主人公は宇蛇川静子75歳

息子の愛一郎48歳

嫁の薫子

孫の高校1年生のるか

と同居をしています。

 

静子だけでなく、それぞれの目線でエピソードが代わる代わる描かれます。

 

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ここから軽いネタバレあり

おばあちゃんは、あなどれない

 

スポーツクラブの貼り紙に「ばか?」という付箋を付けて回ったり、

孫のるかがこっそり買って隠していたバーボンを持ち出して土手で飲んだり、

怪文書を使って小さな籠を編んでそれを怪文書のあったところに置いたり、

息子の浮気?という現場に、偶然を装って出向いて知らん顔したり、

息子が他の女性と待ち合わせしている場所で嫁に出くわすように仕組んだり、

 

もうね、

 

おばあちゃんは、あなどれない

んですよ。

 

もっとコメディー要素を盛り込んだら(毒はそのままにして、むしろ追加して)児童書としても楽しめそうです。

 

凛とした、筋の通った、洗い立てのシーツのような静子さん。

 

おかしいものはおかしい、と曲げない正義感。

家族や回りの人にたいしての洞察力。

 

でも、ちゃんと新しいものを理解しようとする気持ちも持っていて、孫のるかや、新聞配達の山田くんと仲良くなったりします。

 

薫さんとの同居もうまくいっています。

理想のおばあちゃんです。

 

読みながら「そんなキレイごとだらけな・・・」とか思ったりするわけですが、気持ちよく読めます。痛快。

 

多分、わたしがこういうおばあちゃんになりたいんだと思います。

 

いつも自分の中に正義を持っていて、でもそれはとてもしなやかに。年齢を重ねても面白がる気持ちを忘れずに、オシャレや人を愛する気持ちを大切にすること。

 

それは、ここ最近わたしが理想に思っていたことと、近いような気がします。

スターな彼女の捜しもの

この「スターな彼女の捜しもの」にも、そんなご先祖のサディが出てきます。

スターな彼女の捜しもの (ヴィレッジブックス)

スターな彼女の捜しもの (ヴィレッジブックス)

 

 

いや、サディは静子さんみたいにパリッとはしていませんし、自分勝手です。

何より、こちらのサディは死んでいます。

 

サディ大叔母さんは105歳で亡くなったばかりなのです。

 

そのサディ大叔母さんが若い頃の姿で、主人公のララにだけ見え、サディの側にいるようになりました。

 

ララは傲慢で自分勝手なサディに反発をしながら、喧嘩しながら、やっぱりサディの言い分にも一理ある、と耳を傾けるようになり、だんだんお互いを理解していきます。

 

静子もサディも行動する人なのです。

一歩前に踏み出すのです。

やるべきことをやるのです。

 

そうでないと人生は開けない、そういうことなんじゃないかなーって。

 

多分、時代は変わっても、環境が変わっても、人の気持ちとか思いは、実はあまり変わらずに、そして大切なものは、どんな時代でもやっぱり、生きていくこと、人を想うこと(恋愛だけでなく)なんじゃないかなぁ、とか思った2作品です。

 

「いつでもどこへでも行ける」

って、思っていたいなー。

 

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