2014年11月14日(金)公開
デビルズ・ノットの試写会&トークショーに行ってきました。
監督はカナダの名匠、アトム・エゴヤン
「英国王のスピーチ」のコリン・ファース
わたしの大好きな「キューティーブロンド」「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」のリース・ウィザースプーン。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2004/06/25
- メディア: DVD
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が、出演しています。
デビルズ・ノット、ウエスト・メンフィス3事件とは
全米を震撼させ社会現象を巻き起こした衝撃の実話。
3人の児童の猟奇殺人事件。
1993年アーカンソー州ウエスト・メンフィスで起きた、少年3人が殺害された陰惨な事件の犯人として、3人のティーンエイジャーが逮捕された。殺された少年たちは手足を靴紐で縛られ、体には人間の所業とは思えない暴行の痕があり、戦慄した地元住人らは3人を激しく糾弾、全米のメディアが小さな田舎町に押し寄せた。しかし、この事件の背後には、いくつもの信じがたい不正や矛盾が渦巻いていた……
犯罪史上稀にみる「未解決事件」です。
アメリカを震撼させたウエスト・メンフィス3事件を基にしたサスペンス!映画『デビルズ・ノット』予告編 - YouTube
デビルズ・ノットは、「ウエスト・メンフィス3事件」です。
どこかで一度は聞いたことがあるかもしれません。
事件にカメラが入ったことで有名な事件となり、各界の著名人や芸能人が有罪となった少年3人の無罪を訴えてきたことでも話題になっています。
全米を震撼させたあの猟奇的殺人事件、司法取引で3人の"犯人"が釈放|サイゾーウーマン
ウォーキング・デッドのノーマンリーダスも支援美術オークションに出品するなどしています。
子供たちを殺した犯人は誰なの?
何のために?
そして有罪となった少年達は?
出てくる人出てくる人がみな怪しくて汚い
まず出てくる人出てくる人がみな怪しいです。
これを「映画だ」「ドラマだ」と思って見ていると、誰も彼もが怪しくて、誰が犯人でもおかしくないのです。真犯人は一体?
そしてキレイじゃない。全体的に貧しい感じがありありです。出てくる大人も立派じゃない。マシな感じなのは、コリン・ファース演じる調査員のロンや検事や裁判官などの一部のみ。
あとは何かしらどこかしらだめな大人。
これ。
当たり前だと思うかもしれませんが、結構そうじゃないですからね。いい人はいい人に、悪い人は悪く描くっていう構図はノンフィクションでもできちゃいます。映画ですから、もっと誰かをいい人にしてしまうこともできたと思いますが、そうはなっていません。
あのリース・ウィザースプーンも貧しい田舎のおばさんになっています。途中ちょっと変な行動をしたり、と。そこが素晴らしいです。ここで変な美しさや洗練された感じを出したら台無しです。
この映画では、登場人物の一人一人がいいところもあり、だめなところもある、という感じに描かれているのです。いや、どちらかというとダメなところを描いています。
そんなどうしようもないトーンなのですが、少年の死体の詳細な状況や実際の殺害シーンなどについては詳細に語られませんでした。どんな風に殺されて、みたいな描写が延々と続いたら嫌だな、辛すぎる、と思っていたのですが、思ったよりもそこは語られません。
もともとの事件をちょっと調べればわかってしまうことですから、敢えてそこをショッキングに描写しない、ということだったのかもしれません。映画のテーマが殺害の残虐さではないからなのかもしれません。
そのため「残虐性のある映画は見ない」という人にもこのデビルズ・ノットはおすすめできます。
☆
ドキュメンタリー映画ですから、もうネタバレも何もない、と思うかもしれませんが、それでもできるだけまっさらな状態で見に行きたい人はここから先、ちょいちょい軽いネタバレが入るのでご注意ください。
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今年最高のもやもや映画
この有名な事件をどうやって映画に?
犯人を誰にするのか?
そんな風に変に結末を作ったら嫌だなぁと思っていたのです。
特定の人を犯人にするような。
映画ですから実際の事件を下書きに創作してしまうことも可能なのではないか、と思ったのです。でもそうではありませんでした。
もやもやしたまま始まり、そしてそのもやもやのまま終わるという、今年最大のもやもや映画です。
どれが本当でどれが嘘か。
多分、嘘だらけです。
「ぼくしか知らない」というナレーションも嘘なんですね。
人は見たいものを見るし、見たいものを創作する
法廷で少女たちが嘘(多分嘘)をつきます。
法廷で何かをしゃべりたい
注目されたい
目立ちたい
こんな人がいることは、現在の日本でも容易に想像できます。
みんな自分の見たいものを見て、信じたいものを信じます。そのために創作してしまうことがあります。悪意があってもなくても。
これを加速させる要素が、周りからの期待です。期待に応えようと、大人の望むように振る舞ってしまう子がいます。
そして嘘をつきます。
違うものを見たのに、または見ていないのに、「こうだったらいいな」ということを「こうだった」に置き換えてしまいます。
嘘だとも思っていないかもしれません。
嘘もついているうちに「本当だ」という気になってきます。
それは特別なことではなく、日常的にわたしたちもやっていることかもしれません。
怪しいやつは多分やってる?
黒ずくめの服だから、
パンクを聞いているから、
悪魔などの知識があるから
「あいつらは怪しいから多分やっている」
と、なってしまうわけです。
これは本当に怖い。
そんなに遠くない、自分のいる現実でも、こういったことはありそうです。
「思うのは自由」なのかもしれませんが、その思いが集まってちょっとずつ事実をねじ曲げていきます。
証言はねじ曲げられます。
嘘の証言をされます。
証拠はなくなります。
すべては3人の少年に罪をきせるため?
スペシャルトークについて
映画監督の松江哲明
柳下毅一郎(映画評論家)
高橋ヨシキ(デザイナー/ライター)
よかったです~~~!!!
お三方とも大好きな方だったので、わたしにとっては超超!超豪華ゲストなのです。生で見られてシ♡ア♡ワ♡セ
このトークだけで行ってよかった感が倍増です。
楽しかったです~~~
そして、とても勉強になりました。
めっちゃ楽しそうな松江監督。
トークの様子もyoutubeで見られるようになるようです。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=574669896012607&id=526850514127879
トークを聞いて猛烈に見たくなったドキュメンタリー。
この事件はすでにドキュメンタリー映画として、パラダイス・ロストなどが作られています。
パラダイス・ロスト:ロビンフッドヒルズの児童殺害(英語版)
パラダイス・ロスト2:新事実(英語版)
パラダイス・ロスト3:錬獄(英語版)
ウエスト・オブ・メンフィス 自由への闘い
ウエスト・オブ・メンフィス 自由への闘い(字幕版) - YouTube
こちらは字幕で見られますね。
ドキュメンタリーを見ると、トークで出ていた
「実在の人物に登場人物をとても似せてる」
「そっくりさん大集合」
という意味がよくわかります。
「ドキュメンタリー映画はちょっと重くて」という人は、やはりこの映画「デビルズ・ノット」から見ましょう。
スカッと爽やかとは対局にある映画ですし、自分とは遠い世界かもしれませんが、人のやること、変化などは、とても身近に感じられると思います。
上映映画館も限られているようですが、映画館の遮断された世界で鑑賞するとじわじわきます。
言い足りないこと、書き足りないことがたくさんありますが、
今日はここまで。
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