おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

64(ロクヨン)は警察小説だけどね

気がついたら横山秀夫の作品は結構読んでいました。

ふふ。好きなのです。警察小説。

 

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わたし、逮捕された

 

......ことはありませんが、警察に友人知人がおりまして、時おり様々な課の話などを聞きます。そのリアルな話は小説とは違いますし、友人知人も気軽な会では、それほどディープな話はしませんが、小説のエピソードと照らし合わせて「おぉ。そこ一緒やんけ」と頷いたり、「へぇえええ~」とニマニマしたり、「いろいろあるんだろうなーくぅうううう~」と思ったりします。

 

で、警察内部のことをあれこれと覗き見ることができる、横山秀夫の警察小説は好きなのです。ほほうほほう、と。

 

 

陰の季節は短編です。

 

短編小説は好まないので、長編が読みたいと思っていたところに、この64(ロクヨン)の映画化!しまった!読んでないわ!!うーん。映画を見るか原作を読むか。うーんうーん。文庫では上下巻の長編ではありませんか。さらに陰の季節に出てきた二渡とか尾坂部とか出てくるみたいじゃん。D県警シリーズ。やはり原作を読まねば読まねば。

 

 

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最近、寝る前の読書はタブレットで「1巻丸ごと無料」のコミックを読みふけっています。頭を使わずに目も使わずに気軽に読めるコミックはいいよね。でも、この64(ロクヨン)を読み始めてからは、コミック返上!時間を惜しんで寝る直前まで読んでいました。それほど引き込まれた上巻。名前と関係が今ひとつ覚えきれなかったので、丁寧に行きつ戻りつ読みました。

 

昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。

 

内容(「BOOK」データベースより)
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。

Amazon 

 

もともとは刑事だった三上が、なぜか?なぜなのか?一度ならずも広報に。一般企業でいうと営業と管理部門の対立みたいな感じの対立が、いや、もっとあからさまな対立が広報を含む警務部と刑事部にはあります。さらに広報と記者クラブとの対立は必至。

 

どこもかしこも伏線に感じられる上巻を、息を詰めて読み進めて読了。いよいよ、事件解明が佳境に入るであろう下巻に期待が高まる高まる。

 

 

(ここから軽い軽~いネタバレがあるので注意!!)

 

 

が、下巻の前半は「記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争」が主になっていて、話が主人公の三上の脳内で行ったり来たりしている感じになります。躍動感がパタッとなくなって重々しい沼の中に入りこんだよう。

 

うむむむ。

 

banban.hatenablog.com

 

そう。これを書いたのがまさにその130ページあたりを読んでいた時。脳内行ったり来たりを三上テイストに再現した記事を書きました。ブコメでは井の頭五郎だと言われましたけどね。

 

話を終結に向かわせるための序章だと思えば、その沼地はやっぱり必要で、この64がハードボイルドとか推理小説じゃなくて警察小説で、人間と人間の話なんだなぁと思うわけです。事件解決とか立身出世とかそういうことじゃなくて、大切なことはいつも心の中にある、的な。

読んでいる本や読もうとしている本のレビューなんか読むもんじゃないわ

なのに、話がちょっと停滞している時にamazonレビューをさらっと覗いてしまったのですよ。失敗失敗。amazonレビューには予告なくネタバレっぽいものが混じっていますからね。しくしく。

 

三上には娘がいるのですが、小説の中でのその娘の最後の様子がわかってしまうようなレビューがいくつかありました。

 

娘の話は警察小説としては本流ではない部分ですが、わたしの中では大きな役割を持っているエピソードだったので、そこを先に想像できてしまってがっかり。かなりがっかり。ああ、バカバカバカバカ。なんでamazonを覗いちゃったんだろう。やっぱり読んでいる本や読もうと思っている本のレビューなんか読むもんじゃないわ。

集まるところに集まっての結末

事件や伏線は集まるところに集まって、みごとに結末に向かっていきます。 ここはすごい。なるほどなるほど。

 

 

(ここから娘についての軽いネタバレがあるので注意!!) 

 

 

三上は無骨な男で容貌には恵まれていませんが、妻である美那子は大変美しい女性。一人娘のあゆみは父親似で、

「お父さんにそっくりね」

「お母さんに似ればよかったのに」

という言葉に傷つきます。父の醜さを憎みます。自分の容貌も自分の存在も憎みます。そして美しい母も呪います。家に引きこもり、とうとう失踪してしまいます。1万円札と小銭を持ち、スポーツバッグ1つで。

 

残された三上と美那子はそれぞれに自問自答します。

 

難しいですね。

難しいです。

 

美那子の美しさは罪ではないし、三上の醜さも罪ではないはず。両親共にそのことであゆみを追い詰めたことはないけれど、結果として追い詰められてしまったあゆみ。誰も悪くないのに苦しむ家族。

 

ここが、今回のわたしの中でキモだったのです。警察小説だけど、この三上の家族と、心のありようが。

 

映画でどのように表現されているかはわかりませんが、わたし基準では佐藤浩市は醜くないので、どうなのでしょうか。わくわく。

NHKのドラマの64(ロクヨン) 

64(ロクヨン)は2015年にNHKもドラマを制作しています。

 

三上は「とと姉ちゃん」で森田屋の宗吉のピエール瀧。イメージピッタリなんだけどなー。まだ観てないけど。視聴率では奮わなかったというNHKドラマ版64ですが、とと姉ちゃんで、好感度がググッと上がった今なら、ドラマ版64も納得する人も多いかも。まだ観てないけど。先日再放送されたのを録画したのでこれから観ます。

 

 

ああ映画も観たい。


今日はここまで。

 

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