おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

ローマ法王になる日まで

「ローマ法王になる日まで」

いい映画でした。

観てよかった。

 

いい映画は感じたことや書きたいことがたくさんあって、自分が「いいな」と思った映画ほど上手にまとめられないのは本当に悔しいです。観てから一晩あれこれ考えてしまってまとまらないのです。筆力がないからかな。キリスト教 教会という組織の知識がないことも原因の一つですね。わたしもキリスト教には馴染みがありましたし、聖書パラパラと読んだ経験もあるのですが、せいぜいそこまで。どちらかというと学生時代は仏教のほうに興味が向いていましたし今も。でも言いたい。衝撃を受けたことを言いたい伝えたい。

 

そういう時は友だちに「昨日映画観たんだけど」って感じで話すように書く、とちょうどいい感じがします。

上映前のトークショーは棋士の加藤一二三(ひふみん)

わたしは映画は前のほうで観るタイプです。ですから加藤一二三がゲストとは知らずにいたのですが、かなり近くで拝聴拝見することができました。ラッキー。

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ちゃんとお話聞き取れましたよ。わかりましたよ。わかりやすくキリスト教についても話してくれました。

 

クイズをしたり、歌を歌ったり、遠くの席に手を振ったりとお茶目なひふみん。もちろん勝負については厳しいのでしょうが、そうでない場面では、こういうもの凄い人ほど、腰が低かったり優しかったりするんだよなーってしみじみ思いました。

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短い時間だったのですが、愛が伝わってきて、キリスト教に興味がわいてくると共に、「これ、映画を食っちゃったんじゃないか?」と思うような濃密さでした。でもそうではありませんでした。映画は映画でいろいろな意味で衝撃的でした。 

「ローマ法王になる日まで」

映画のあらすじはこれ。

2013年3月13日、第266代ローマ法王に就任したフランシスコはサンピエトロ広場に集まった20万人の信徒に歓喜の熱狂によって迎えられた。その期待を裏切ることなく、新法王は貧しさや困難にあえぐ人々に寄り添った活動を展開、環境問題や人種差別や金融システムにも言及し、壁を作ると発言した選挙中のトランプ大統領候補(当時)に苦言を呈するなど、今や世界で政治家以上の影響力を持つ。ローリング・ストーン誌の表紙まで飾ったその人気は、“ロックスター”のようだと喩えられるほどだ。本作は、一人の心優しきアルゼンチンの青年が、史上初のアメリカ大陸出身のカトリック教会長となるまでの激動の半生を、事実に基づき再現した実話の映画化である

映画『ローマ法王になる日まで』公式サイト

 

映画の大半は現ローマ法王のフランシスコの若かりし頃の話です。コンクラーベ(法王選挙戦)のためにバチカンに来たホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(フランシスコ)が、これまでの自分の歩んできた道を回想します。

 

イタリア移民であったベルゴリオ(フランシスコ)は大学で化学を学んでいました。多分優秀。ベルゴリオが20歳の時に牧師を目指してイエズス会に入会します。みなに大変惜しまれながら。

 

 

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ベルゴリオは35歳の若さでアルゼンチン管区長に任命されますが、アルゼンチンは軍事独裁政権で弾圧の恐怖の時代。政権側につく人、反政権側。教会は政権側に近いのかな。反政権側であると思われた身近な友人知人が拉致され拷問され殺害され、それは牧師にも及びます。

 

この描写が重いのですが、絶妙です。恐怖や嫌悪はもちろんあって観ているのはつらいですが、ぎりぎりのところで直接的な表現を巧みに避けて映画として観やすくなっていると思います。

 

独裁軍事政権が倒れ、ドイツで若い人等に混ざって神学を学びなおそうとするベルゴリオは教会を訪れます。そこで出会った婦人が教えてくれた「結び目を解くマリア」。婦人の導くままに自分の結び目を心の中で唱えたベルゴリオは涙します。

結び目を解くマリア

「誰もが結んでしまう苦悩の結び目を解いてくれる」「結び目を解くマリア」これを観ていて、何だか本当に嘘のように、最近の悩み多き自分の状況がするするっと解けていくような感じがしました。

 

そうなんだよね。そうなのよ。たいしたことじゃないのよ。わたしの悩みなんか。状況なんか。どうにでもなるんだよ。どうにかしなくてはいけないんだよ。きっとわたしの中にも結び目があるの。知らず知らずのうちに自分で絞めてしまった結び目が。ほどこうとしてさらに固く結んでしまった結び目が。「固く結んでしまったから、もう解けないわ」と思った解いてもらおう。マリア様に。と思ったとたんに何かするするって解けた気がしたんですよ。すごい。 

命を賭けて意志を貫くのか、生き延びて長く説き続けるのか

日本で言うとキリシタン弾圧とかもですが、その場、その瞬間に、意志を曲げずに命を賭けて意志を貫く生き方と、生き延びて自分の信念を長く説き続けていくこと。それぞれの生き方なのだと思うのです。

 

どちらがいいとか悪いとか、正しいとか間違っているとか、そういうことはなくて、自分を信じてその瞬間を生きること生きていくこと。

 

長く説き続けた人が、亡くなくなってしまった人に抱く対する罪悪感もあって、ベルゴリオも計り知れないような痛みを抱えてきたはず。でもそこも乗り越えて生きて、少しでも人々を幸せにしたい、愛を伝えていきたいという法王の力強さ。

 

「私は貧しい人々による貧しい人々のための教会を望む」

 

苦難を乗り越えてきた法王だと思うと、いまアメリカ大統領に物申すなんて当たり前と言えば当たり前ですよね。そして今さら重みを感じました。

 

すっかりローマ法王フランシスコのファンになってしまいました。関連書籍なども読んでみたいと思っています。 

ビジュアル 新生バチカン 教皇フランシスコの挑戦

ビジュアル 新生バチカン 教皇フランシスコの挑戦

  • 作者: ロバート・ドレイパー,ナショナルジオグラフィック,デイブ・ヨダー,高作自子
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 
教皇フランシスコ キリストとともに燃えて――偉大なる改革者の人と思想

教皇フランシスコ キリストとともに燃えて――偉大なる改革者の人と思想

 

  

軽くはない映画ですが、おすすめです。

2017年6月3日(土)公開。

 

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今日はここまで。

 

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