おうつしかえ

ブヒブヒ言ってるだけです。誰も恨んでいません。

クスクス粒の秘密-リストラ父ちゃん頑張って元妻とレストラン開く

クスクスは好きです。デュラム小麦を粉にし、粒状にして蒸して乾燥させた、いわゆる世界最小のパスタ。炭水化物。わたしはどちらかというと長めのものが好きなので、えぇ、麺が好きなので、できれば幅広麺が好きなので、クスクス粒自体がものすごくおいしい~~~と思ったこともあまりない気がします。結局、味付け次第だよね。

 

日本の混ぜ込みご飯だと思うといいのかな。ご飯の旨い不味いもあるけれど、そのご飯を何を一緒に食べるか、ということなんかな。

 

あのクスクスの一つ一つの粒をクスクス粒。料理になってしまっているものがクスクスと言い分けるようです。どちらもクスクスって言ってしまいますが。

 

わたしの中ではクスクスは中東のイメージなんですが、確かにフランス料理でも出てきますね。発祥は北アフリカ(マグリブ近辺)から中東だそうです。

 

2/2 クスクスってどんな食べもの? [エスニック料理] All About

 

 

 

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で、映画。

GYAOでやっているのを観ました。

※2016年9月18日まで無料

 

世界各国の映画祭で絶賛された、アブデラティフ・ケシシュ監督の感動名作。

  

こんなにも愛おしく切ない晩餐があったでしょうか...

 

クスクス粒の秘密  [DVD]

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って、全然そんな感じの映画じゃないんですよ。

 

このコピーとカバーデザインを見ると、すれ違い、報われない恋愛映画のようですが、そういうことでは全然ないのです。

 

おっさん頑張る。

女たちわめく。

 

 <あらすじ> 舞台の港町セートで港湾労働者として働くチュニジア移民の60代の男スリマーヌ。年を追うごとに仕事はつらくなり、リストラの波も押し寄せる。前妻との間に子どもと孫がいるが、家族からは疎まれていると感じている。そんな中、彼は古い船を買い取って船上レストランを始めることにする。http://amzn.to/2d4Sxin

 

amazonに掲載されているこのあらすじには、あと1行あるのですが、それを読んだために、落ち一歩手前までが解ってしまい、映画に没頭できずハラハラドキドキ。

 

舞台は港町。くたびれた61歳のおっさんのスリマーヌが主人公。港湾労働者として働くチュニジア移民の60代の男スリマーヌ。仕事が遅いと怒られてリストラ寸前。いや、結局やめて補償金をもらうことに。

 

前妻との間に成人した子どももいて、うーん。誰が実子で、誰が義理の子(嫁とか娘婿)なのかがわからず、その人間関係を必死に追いました。あけすけに物を言っているのが実の娘で、若い子が孫なのか子なのかもわからないほど、たくさんの人が登場してきます。

 

大家族的な。いいじゃんいいじゃん。みんなで地味なお母さんの(多分とても)おいしいクスクスを食べてわいわい喋って。みんながものすごく言いたいことを言い合うの。アメリカ以外の海外の映画を観ていると、そういうしゃべりまくるシーンは多いんだけど、これもそう。スリマーヌは住んでいるホテルの女主人と付き合っていて、その女主人の娘リムも娘同然に可愛がっています。で、リムも前妻の子ども達と仲良くしていて...

 

そう聞くと、なんかいい感じするでしょ?

 

でもね、しゃべっている内容が全く楽しくないのよ。当て擦り、こき下ろし、批難、否定。もう事あるごとにdisdisな会話。もちろんこの家族だけが嫌な奴らの集まりって事じゃなくて、楽団の男達もテーブル囲んでスリマーヌをこきおろすし、フランス人は移民達をバカにするし、誰も彼もが毒舌。それがしつこくしつこく、うんざりするくらい続きます。嫌な気分になることこの上なし。飾らない日常って言えば日常で、ごめん。どきどきするけど、わたしこういうの嫌いじゃないの。

 

家族からは疎まれていると感じている。

 

うん。日本でもあるよね。一生懸命真面目に無骨に働いてきた寡黙なお父さんが、ちょっと軽んじられちゃうの。

 

そんな中、彼は古い船を買い取って船上レストランを始めることに。料理はクスクス。前妻が作るクスクス。息子や娘も手伝うことになりますが、移民の彼らにはフランス行政の壁は高く、許可も融資もなかなかうまくいきません。そこで、試食会を兼ねてパーティーを開くことにするわけです。

 

で、「船上レストランなんて~」とさんざんけなしていた楽団のじいさま達も「音楽は俺等に任せろ」と、協力してくれて、なんだ、言いたいことを言うけれど、心根はいい人たちばかりなのね...と、少し和んて、ここからいい感じに転がってハッピーエンド...まではいかなくても、温かい感じでエンドするんじゃないかな、とか思ったりしました。

 

船も素敵に改修できて、料理もできあがり、サービスは子どもたちが頑張って、フランス人もにこやかにパーティーに参加します。

 

で、

 

そこで

 

ここからネタバレなんですが

 

起こるんですよ。

事件が。

 

クスクス粒を蒸したものを、車から降ろさずに息子が車で消えてしまいます。理由は不倫相手がパーティーに参加してたから。クスクスをまだ積んでいるとは知らずに。

 

そこまでは順調だったのに...メインのクスクスがなくては話になりません。クスクス料理店なんですから。これから蒸し直しても100人のクスクスは1時間ではできあがりません...馬鹿息子!!!

 

スリマーヌは息子を探しに、バイクで息子と前妻が住んでいる団地のようなところへ行きます。娘たちは「とにかく酒を出せばフランス人なんて」とフランス人をdisりながら酒を出しまくります。

 

あーもうそこからは 悪夢のようです。

 

わたしがよく見る悪夢。何をやってもうまくいかなくて、どんどんどんどんドツボにはまっていく悪夢。待ち合わせの場所に行くつもりで家を出たら、すっかり待ち合わせ時間を過ぎていて、慌てて向かうけれど、今度は道に迷って電車を乗り間違えて、近づくどころかどんどん遠くに行ってしまったり、提出しなくてはいけない書類があるのに、それを忘れてしまって、取りに戻ったけどどこにも見つからなくて、仕方ないからもう一度会社に戻ろうと思ったら、車がなくなっていて、仕方ないからバスで行こうと思ったら財布がなくて、やっとバスに乗ったら違うバスで会社にたどり着けない...こういう悪夢をよく見ていました。トラウマになるくらい。いや、なにかのトラウマで見る悪夢なのかな?このあとの映画の展開はまるでそんな感じ。

 

うわぁあああああん。

うわぁあああああん。

 

クスクスが出てこなくて文句を言い出す客をなだめるために、リムが着替えてきてベリーダンスのような官能的な踊りを始めます。びっくりしながらも引き込まれる客たち。リムに対してよい感情を持っていなかった娘たちも手拍子をして盛り上げます。危機的状況でのやっとの一体感。次第にリムの顔も体も上気していき...腹!腹!!その腹!!!ぽっこりしている腹!!!!

 

知り合いにベリーダンスの先生とかいるんですが、本場の人ほどむっちりした体つきをしていて、あーあの腹でもいいのかーと思うことが多いのですが、それにしても腹がーーー。

 

このリム役を演じたフシア・エルジは役のために15kg増量したそうです。つまり、この腹はたまたま、わたしのように不摂生のたまものの腹じゃなくて、演出のための腹なわけです。確かにあれはインパクトがあるし、あれが普通の漁師町にいる娘、といえばそういう感じなわけです。その腹も執拗に撮します。これでもかって言うくらいしつこくしつこく。

 

やれること、やるべきことをやっている娘のリムを見たからか、元妻と一緒に船上レストランをやるなんて!と怒って悲しんで怒ってやさぐれていたホテルの女主人も、レストランを抜けだして、自分のホテルでクスクスを作ってきます。

 

その間、主人公のスリマーヌは、子どもたちにバイクを盗まれ、嘲笑され、それでもバイクを取り返そうと後を追いかけていました。走って走って走って。休んで走って走って走って。そしてとうとう道に倒れてしまいます。あぁ...あぁ...

 

このあとの展開はそれぞれが考えることなのでしょう。

 

でも、よくよく考えればあんなに走る必要がないんですよ。知らない場所でもないわけだし。多分あれはスリマーヌの贖罪の気持ちの表れだったのではないかな、とも思います。

 

もう一度、観たいような観たくないような。

でも、また機会があったらきっと観ると思う。

 

しばらく頭から離れない映画でした。

今日はここまで。

 

フェレロ クスクス

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